バスの置き去りから子供を守る方法は?
少し話が長くなってしまいますが、どうぞ最後までお読みください。
私たちは他業種で何度もミーティングを行いました。
まずは問題点の洗い出し。
①バス内部の確認
確認は人が行う。人が確実に行ったか根拠が取れない。
②チェックシート
手書きで行えるものは、どんな細工もできてしまう。
③手順書
手順書は守るか守らないかは本人次第。
④通園時のIDカードによるチェック
IDカードを忘れた場合やイレギュラー時に問題が起きやすい。仮にチェックをしなくても次に進むことができてしまう。
⑤子供が中にいた場合、自分で逃げ出す方法がない。
車のロックを開けたり、重いクラクションを鳴らしたりすることができない。
我々はこの中の
①③⑤をシステム化することで目標を達成します。
解決方法を以下と考えました。
1.確認をブザーで知らせ、確実なチェックを行う
まずバス内部を人がチェックを行う。これが最も基本。
画像で内部を確認、センサーによる内部の検知、これはあくまでも補助システムと考えます。死角にいて見つけられなかった。倒れていたときにセンサーが反応しなかった。その場合はだれに責任を問うのか?バスの運行者、管理者の責任です。
2.チェックに適した行動パターンを設計
チェックをする際にどのようにしたら最適にできるのかを人間の行動に基づき設計する。 ブザーを解除するまでの動作や手順を守らないとブザーが止まらない。ブザーが止まったということは、内部を手順通りに確認したエビデンスとなる。
この点は他社との大きな違いとなります。
また初めてバスを運転する方が、説明がなくてもその動作パターンがわかるように工夫されています。
誰でも必ず同じ動作ができます。
3.チェックシステムを2重に配置する
車が停車し確認チェックプログラムが始動する。手順に沿ったチェック方法を行わないとブザーが切れない。ブザーを指定時間内に切らないと、車のクラクション回路に切り替わり、外部に異常を発信。指定解除方法を行うまでブザーは切れない。
4.子供が取り残された時
クラクションを鳴らす練習をしているが、過酷な状況の時に子供が押すことができるか?それを押し続けることができるのか?我々は内部に非常ボタンを配置し、どんな子供でも簡単に押すシステムを設計。これにより、一度押せばクラクションが鳴り続け外部に発信する。
5.車の整備士による取り付け工事
つまり簡単に取り付けることもできないし、取り外すこともできない。人は楽をする方向に動いてしまいます。これは産業設備でも同じです。手間だとシステムを誰かが解除する。それを防ぐために、簡単には解除できないように考えられています。
6.外部コネクション機構を組み込む
このシステムをベースシステムとして、画像システム、赤外線システム等の他社システムをコネクトできるようにする。つまりこのシステムをベースとしてより確実なシステムの構築を目指す。
7.現場を重視する
実際の運用施設に伺い現場の生の声を反映する。実際に運用する方と何度も打合せ、試作を重ね、本当に使いやすいシステムを作る。
・子供が押しやすいボタンの場所は?
・先生が負担にならず、かつ確実にチェックできる手順とは?
・子供が壊してしまう可能性はないのか?
現場で試作を重ね、こういった問題を解決し、より良いシステムを作る。
一つ疑問が。人がやらない可能性があるなら車中にカメラをつければいいのでは?
その通りですね。
ただ、バスにはカメラがなん十個、人感センサーがなん十個も。ただそのカメラからの異常が出たとして確認するのは人です。その時に確認をしなければ、そこにいるべき人がいなければ…たまたまカメラが故障して動かなかったら。最後に確認するのはどんな時でも人です。それでは今の状況と変わりません。
まずやるべきはバスが止まった際に子供が有無を確認をする。どんなにカメラがあったとしても、この行為が最も大切だと考えます。
確認するべき大人が、確実に確認すること。
これを主に置きたいと考えます。その先に補助としてカメラをつけたりするのではないでしょうか?バスの中に子供がいなければ事故は絶対に起きない。
私たちは、大人にやるべきことを、手順通りにさせます。
そしてその先に子供の取り残しゼロを実現します。
何重ものチェックを重ね、もしもに備える。それこそ、私たちが考えるシステムです。